反面調査への対応
反面調査とは、税務調査対象の納税者ではなく、納税者の取引先、取引銀行等に対して実行される税務調査のことです。いわゆる税務調査の一環にあたり、納税者が税務申告の正当性を裏付けるため、取引先とのやり取りや取引先の帳簿、書類などを確認します。
1. 憲法16条の請願権を活用する
日本国憲法第16条(請願権)は「何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。」と規定し、国民は誰もが国や地方公共団体に関する事項について請願( せいがん )する権利があります。またその手続きについては請願法に規定されています。
従って、税務行政(税務調査や課税処分等)についても当然該当し、納税者は国税庁、国税局、税務署等に対し請願書等を提出し、その是正を求めることができます。
2. 嘆願書等を活用する
修正申告や期限後申告に応じた場合や既に更正の請求等の期限が切れている場合であっても、新しい事実が発見されれば、その事実に基づき「嘆願書」により是正を求めることができます。
「嘆願書」に法的拘束力はありませんが、その内容が事実であれば課税庁も一定の理解を示し、職権による更正をすることがありますので、積極的に活用しましょう。
3. 納税者支援調査官を活用する
納税者支援調整官は、納税者からの苦情やトラブルを納税者の立場に立って支援するポストです。
アメリカの「納税者護民官」のように課税庁から独立したポストでないため、その権限や使命に中途半端さは否めません。しかし、所轄にかかわりなくどこの支援官に対しても苦情等を申し立てすることができ、その支援官は原則ワンストップサービスにより3日以内に何らかの処理をしなければならないことになっています。
この支援官制度の活用により、苦情処理やトラブル解決等の一定の成果があがっていますので、積極的に活用するのも有効でしょう。
4. 適宜、上司、上庁への文章又は口頭での抗議を行う
国税庁が財務省の実施庁になり業績評価をすることになったことや、情報公開法の施行の影響と更に課税庁内部の「危機管理強化」ともあいまって、口頭・電話・文書のいずれを問わず、あらゆる苦情やトラブルは総務課で記録・管理し、必ず処理することとなっています。
更にトラブルが発生し3日以内に上司(署長や副署長)に報告しなければ、その責任者(統括官)の処分もあり得るという程過敏になっています。
従って税務調査等において、担当者やその統括官の折衝において解決の道がない場合には、税務署長や上庁に直接苦情等を文書によって申し立てをすることが、従前以上に有効になっています。
ただし、現場サイドで解決できる事項を上庁等に直接行うことにより、問題を拡大したり、かたくなに原則的処理をする事例もありますので、事案により申し立て先や方法の選択が大切です。
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